酵素フィルタ
溶菌酵素がフィルタに捕集された微生物の増殖を抑制し、クリーンな空気を供給します。
製品概要
溶菌作用のある天然酵素をろ材に固定化したフィルタで空気中に浮遊する細菌やカビなどの微生物を捕集し、増殖を防ぎます。
製品の特徴
製品適用場所
対象微生物
細菌
空気中に長期間生存するグラム陽性菌は溶菌酵素が有効です。細菌の細胞壁を構成する結合部分(グリコシド・アミド・ペプチド等)に溶菌酵素が触れると加水分解により、細胞壁に穴を空けます。その穴の誘因により、細菌内部の浸透圧で細胞膜が破裂し、細菌を死滅させます。
真菌(カビ)
カビの主な発生原因は栄養源、酸素、温度、水分で、環境によって徐々にカビの胞子が発芽し、菌糸を伸ばして多量の胞子を着生します。カビが増殖すると通常はフィルタの汚染を引き起こしますが、酵素フィルタは菌糸を破壊する作用があるため、カビの増殖を抑制することができます。
ウイルスに対する効果
ウイルスとは、DNAまたはRNAのいずれかの核酸と少数の蛋白分子からなる粒子状の物質のことを指します。ウイルスは単独では増殖能を有さず、細菌、動物あるいは植物の細胞内に侵入することによって宿主細胞内の代謝系を使ってはじめて増殖することができます。
現在同定されているウイルス中の約80%は、エンベローブと呼ばれる糖蛋白の蛋白殻に包まれており、このエンベローブにあるS蛋白質(=スパイク)によってウイルスは 宿主細胞に吸着、侵入します。
エンベロープを有するウイルスは、このエンベロープを分解すれば、宿主細胞に吸着、侵入することができなくなり、実質的にウイルスとしての機能がなくなります。これをウイルスの不活化といいます。酵素はエンベロープを分解し、ウイルスの機能を失わせます。
代表的なエンベロープを持つウイルス
- ・オルソミクソウイルス科(インフルエンザウイルスA型)
- ・オルソミクソウイルス科(インフルエンザウイルスB型)
- ・パラミクソウイルス科(パラインフルエンザウイルス)
- ・ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV))
- ・SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)
尚、酵素はエンベロープを有さないウイルスに直接の作用はありませんが、溶菌により宿主細胞となる細菌が無く、細菌ウイルスは増殖しません。
通常のフィルタとの比較実験
以下は酵素フィルタ採用による溶菌効果の検証のため、通常のフィルタと酵素フィルタを飲料工場に約6ヶ月間設置し、使用済みフィルタを走査型電子顕微鏡により解析を行ったものです。同一環境で使用されたそれぞれのフィルタのエア一次側、ろ材内部、二次側の微生物汚染の状況を確認することができます。
酵素フィルタの安全性
一般的に溶菌酵素は長期保存が生命線となる鳥や魚の卵に含まれており、外部からの雑菌による腐敗を防止します。人や動物の涙や唾液にも含まれ、体内に菌が入り込むのを阻止するなど、細菌からの防波堤の役目を担っています。 このように酵素は、生命体を維持する安全な物質です。
酵素フィルタに用いられる修飾溶菌酵素の急性毒性試験
実施機関:一般財団法人食品薬品安全センター
試験項目:修飾溶菌酵素のラットにおける静脈内投与毒性試験
試験結果:
1:死亡例 … 14日間の観察期間中に死亡例は認められませんでした。
2:一般状態 … いずれの例の一般状態にも、変化は認められませんでした。
3:体重 … いずれの例の体重も観察期間を通して順調な増加を示しました。
4:剖検所見 … いずれの例の器官および組織にも、異常は認められませんでした。
EPAガイドラインに基づく安全性試験結果
実施機関:MB Research Laboratories
【用語説明】
EPA:米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)
カテゴリー:IVは最も安全性の高い評価
LD50:半数致死量
LC50:半数致死濃度
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