PROJECT

案件を知る プロジェクトストーリー

プロジェクトストーリー

カーボンニュートラルの流れが生んだ新たなチャンス。 高品質なVOC分解触媒開発への挑戦。

グローバルな舞台で、業界最先端の技術を提供。そのスケールの大きさに惹かれて

排ガス処理の分野においても多数の実績を誇る日揮ユニバーサル。
カーボンニュートラルの流れを受け、現在、高品質なVOC分解触媒開発に挑んでいます。
営業、研究、生産技術、製造がバトンを繋ぎ、
触媒の新たな価値を確立していく――その奮闘を追いました。

当社なら、厳しい基準値をクリアできるVOC分解触媒を生み出せると確信
EPISODE 01

当社なら、厳しい基準値を   クリアできる   VOC分解触媒を生み出せると確信  

営業

ここ数年、カーボンニュートラルの流れを受け、石油化学分野のお客様から「工場から排出される有害物質への対策を強化する必要がある」と相談を受ける機会が増えていました。日揮ユニバーサルは、お客様からの難しいご要望に応え続けることで触媒の可能性を広げてきた企業であり、排ガス処理の分野においても多数の実績があります。新たなニーズをチャンスと捉え、詳細なヒアリングを行いました。お客様の工場は世界中にありますが、特に中国や東南アジア、ヨーロッパにおけるVOC(揮発性有機化合物)規制は、今後どんどんシビアになっていきます。2025年、そしてその先の2030年から実施される規制の基準値を把握し、当社ならば厳しい基準値をクリアできるVOC分解触媒の開発が可能だと考えました。規制の基準値は、求められる性能の目安でもあります。また、常に競合は存在しているので、お客様と継続的にコミュニケーションをとり、コスト面のご要望にも真摯に対応しなければ、大きなビジネスへと繋げられません。求められる性能と価格、そして競合などをまとめた開発設計情報シートを研究室に共有することで、このプロジェクトが新たな開発テーマとしてスタートしたのです。

添加物によって組成を変え、少量の貴金属で最大限の性能を引き出す
EPISODE 02

添加物によって組成を変え、 少量の貴金属で最大限の性能を引き出す  

研究

新たな触媒のレシピを検討するにあたって、まずはお客様の工場から排出されるガスの成分を把握する必要があります。工場の環境に似せた模擬的な反応装置を研究室につくり、モデル触媒で実験を重ねる段階で、ガスの中に触媒の性能を阻害する物質があるとわかるケースも。触媒は性能を阻害する物質に触れると寿命が短くなるため、触媒の原材料とガスの成分との相性は重要です。従来、触媒の原材料には貴金属が多く使われてきましたが、現在は価格の上下動が激しく、コストパフォーマンスの良い製品を生み出すには、貴金属に代わる原材料を選定するなどの工夫が欠かせなくなりました。このプロジェクトでは添加物による効果で、少量の貴金属で最大限の性能を引き出すことに成功。研究室においては、製造現場での量産化を念頭に置いたレシピ開発も大切です。製造現場の設備は、研究室の設備に比べてはるかに大きいスケールであり、温度や湿度、空気の流れといった条件がどうしても異なってきます。トライアルでは、原材料に新規物質を使用する場合は、安全性や使用上の知見を集め、製造工程においてもこれまでに実績のあるオーソドックスな方式を基準にフローを組むようにしています。

生産技術と製造で密に連携し、要求品質を満たす製造条件を整備する 生産技術と製造で密に連携し、要求品質を満たす製造条件を整備する
EPISODE 03

生産技術と製造で密に連携し、 要求品質を満たす製造条件を整備する  

生産技術・製造

確定したレシピが研究所から生産技術センターに共有されたタイミングで、営業、研究、生産技術、製造が一堂に会し、今後の方針に関してミーティングを実施。工場(製造現場)にてトライアルを担当するチームを立ち上げます。トライアルにおいて生産技術と製造オペレーターが共に探っていくのは、触媒自体の性能に加えて見た目や生産効率など、顧客や工場内での要求事項をすべて満たせる製造条件です。多くの触媒は、ハニカム(土台)の上に、液体に粉体が混ざったスラリー(懸濁液)を塗布してつくられており、スラリーが均一かどうかで触媒の性能が決まるといってもいいでしょう。スラリーの性状は気温にも左右されるため、「一定以上の気温の場合はチラー(冷却装置)で冷やした方がいい」といった製造オペレーターの知見を反映するなどして、安定生産が可能な条件が整っていきます。トライアルのレビューを行うのは生産技術の役割。幾度も改善を行って量産化に成功した後も、高い品質を維持するための努力は続きます。製造現場ではチームワークを重視し、例えば「規定の温度に達していないのに化学反応がはじまっている」など、普段との違いに気づいたらすぐに状況をチーム全体に共有し、知恵を出し合って原因や改善方法を探っています。そして生産技術は、常に製造現場の様子にアンテナを張り、量産体制における課題や不便さを設備投資で改善していきます。異変を察知したら技術的サポートを行うと共に、必要な場合は営業や研究のメンバーにも状況を共有。プロジェクトに関わるメンバー全員で一丸となって、お客様に選ばれる製品を生み出し続けたいですね。

生産技術と製造で密に連携し、要求品質を満たす製造条件を整備する

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